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文章のテンポコントロール


書き上げたばかりの小説をさっと読み返した時、
あなたはご自分の小説を読んでどんな事を感じられますか?

ストーリーの不出来や、文章の荒さや、
色々と気になる部分は出てくるものだと思いますが、
今回、考えてみたいのは「文章のテンポ」についてです。



熱中して書き上げた文章というのは、
その文章を書いている時、一文一文には注意していますが、
作品全体の流れの速さは、(熱中しているため)気にならなくなる場合が多くあります。


作者自身の頭の中では、作品のシーンが
ドラマや映画のように映像として見えているため、
「この文章で、読者様がどう見えるか」が気にならなくなって来るんですね。
(特に、作品に入り込んでアドレナリンが出ている状態では)


しかし。

熱中もさめ、冷静になってから全体を読むと、唖然とする事が多くあります。

こういう時に必要となるのは「テンポコントロール」です。


およそ熱中して書いている場合は、
ストーリーを進める事が優先になりがちですから、文章のテンポが速くなる傾向があるのですね。

つまり、
言葉数が少なすぎて、情景が浮かびにくいまま、ストーリーばかりがトントン拍子で
進んでいく事になります。

こういった文章に、「状況説明」や「新たなエピソード」を加えてテンポを落とし、
よりイメージしやすく修正していく方法です。




例えば、実際に私がやってしまった長編の読みにくい文章のの場合ですと。


<例1>---------------------------------------------------------------
彼は六本木で降りると昼間から飲んでいる黒人達とすれ違う。
軽く笑顔を送り、階段を駆け上がった。
駅前の路地に入り、地下の店へと足を踏みれる。
オープン間近、スタッフがドリンクの準備にいそしむ。

----------------------------------------------------------------------


この例文を読んだ時、どのように感じられるでしょうか。


私の感じた内容で言いますと、
駅を降りた辺りはまだ良いですが、駅を出てお店に入るまでが、あまりに飛びすぎていると感じます。

映画で言えば、電車を降りたシーンはちゃんと描かれているのに、改札や駅前は
一秒ほど画面に移し、突然、店内のシーンに切り替わっているようなイメージです。


画面の切り替えが早すぎて、映画の場合「目が痛い」となる撮り方ですよね。


こういった事が頻繁にありますと、読者様は展開の速さについていけなくなります。

そこでここは一旦テンポを落とさなければなりません。




落とし方。これが問題です。

単に「彼は改札に切符を通し、西側の出口から横断歩道を渡り、デパートの裏路地を
通り寿司屋の横の階段から地下へ降りた。そこに彼の店があった」では、あまりに
単純すぎですよね。

映像としては繋がりますが、この文章にあまり意味がありません。

これもストーリーがダレるひとつの原因になります。




方法は様々ですが、例えばこの場合、主人公に考え事をさせるのも手です。


交差点で信号待ちの間、初めて六本木に来た時の事を思い出させます。
あの頃、この交差点で店がどっちかと地図を見て悩んでいた。そして初めてドアを
開ける時、帰るかどうかとかなり悩んだ…。
こういった考え事をしている間に信号が変わり、彼はサラリーマンの後を追いながら
信号を急いで渡る……。



こうした方が、まだ店への道にイメージが沸く上、過去を振り返るという「意味」
(ストーリーの奥深さになります)がプラスされます。


他にも、
「いつもこの時間、この通りを歩いているとオレンジのコートの女性が
裏通りへと入っていく。彼女とは次の交差点で反対方向だが、彼女は一体、
何の仕事をしているのだろう」

という様なシーンを入れるのも手です。

ストーリーに(何かの伏線かと思わせる)不思議さを加え、この六本木の裏通りという独特の雰囲気を
暗に表す助けにもなります。


「小説は最初は長めに書き、後から削っていく方が良い作品になる」
と言われますが、実際はどうしてもテンポを落とすために付け足しを
しなければならない事があります。

その時、単に状況説明文を入れるのではなく、「暗に意味を含んだ」文章を
加えてあげると、一味違った形になるかと思います。

文章のテンポがおかしい場合に、一度お試し頂ければ幸いです。
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プロフィール

しのぶ

Author:しのぶ
「言の葉使い」ブログ版へお越しいただき、ありがとうございます。

当ブログは更新を停止し、以下の新サイトへ移行しました。
今後とも新サイトにて、どうぞよろしくお願いいたします。

<移行先> :RealCreate~小説の書き方講座~
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